2013年9月28日土曜日

SONY HAP-Z1ES のDACはカスタムチップ?

 HAP-Z1ESのDACが何なのかについて、未だに決定的な情報はみつけられませんが、国内発表時の記事やSonyの下記のサイトから、ヒントとなる情報が見られます。

AV Watch
 "DSDリマスタリングエンジンは、入力した全ての楽曲ファイルを5.6MHzのDSDに変換した後で再生するもの。
HAP-Z1ESではDSDの信号のDA変換方式としてアナログFIRフィルタを、左右チャンネル独立して搭載。
片チャンネルあたり4個のフィルタユニットを1クロックディレイ差動合成させて動作させることで、DSD信号の高域ノイズを効果的に低減できるという。
ここには、ソニー独自のDSDオーバーサンプリング技術やノイズシェーパーなどのノウハウを盛り込んでおり、専用オーディオICと高性能32bit DSPの組み合わせでリアルタイムに5.6MHz DSD変換が行なえるという。

この処理を行なうことで、効果的なノイズ低減やアナログ的な音質を実現できるとする。
ソニーでは、DSDリマスタリングエンジン処理を行なったほうが高音質と位置づけるが、「そのままの音で聞きたい」という意見もあるため、'13年内に提供予定のファームウェアではDSDリマスタリングOFF設定も可能にする予定。"



Sony HAP-Z1ES 音質のページ

アナログFIRフィルター(含移動平均フィルタ)
DSD信号のD/A変換方式として理想的なアナログFIRフィルターを搭載。
左右チャンネル独立のチップ構成とし、片チャンネルあたり4個のフィルターユニットを使用。
1クロックディレイ差動合成動作させています。
この回路によりDSD信号に含まれる高域ノイズを効果的に低減できます。

DSDリマスタリングエンジン
前述の理想的なDA変換システム「アナログFIRフィルター」の性能を最大限に生かすために、すべての再生信号を5.6MHzのDSD信号に変換して再生しています。
高性能なDSPとソニー独自開発のオーディオ用ICの組み合わせによる変換エンジンには、ソニーが業務機で培ってきたDirect8倍オーバーサンプリングやExtended SBM等のノウハウが盛り込まれています。



 HAP-Z1ESの再生過程   Sony AP-S1 高音質技術より


Sony AP-S1 高音質技術のページ

”Burr-Brown D/Aコンバーター PCM1795を採用
DSD再生時アナログFIRフィルター方式、PCM再生時アドバンス・セグメント方式を使用しています。"



①アンプ内臓のHDDオーディオプレーヤーシステム "AP-S1"の説明にはPCM1795と明記されていますが、"HAP-Z1ES"には明記されていない。
②"高性能なDSPとソニー独自開発のオーディオ用ICの組み合わせによる変換エンジン"
③"左右チャンネル独立のチップ構成とし、片チャンネルあたり4個のフィルターユニットを使用。"
④"'13年内に提供予定のファームウェアではDSDリマスタリングOFF設定も可能にする予定。"
 
④の記述からPCMの直接再生も可能になること、③"チップ構成"からディスクリートの可能性は低く、専用ICで実現しているか、PCM179xなどのDACチップを2つ以上搭載している可能性が高そうで、①にあるようにAP-S1ではPCM1795と明記しているのにチップ名の記述がなく、また②の専用オーディオICを開発していることから、専用オーディオICの可能性が一番高いように思います。


 PCMをDSD化して再生する場合は、その変換処理が肝となるのでしょうから、Sonyのノウハウが盛り込まれたDSDリマスタリングエンジン等は期待が持てそうですが、デジタルチャンデバを用いるシステムには組み込みづらいのが悩ましいです。

2013年9月6日金曜日

SONY HAP-Z1ES

 SONYがDSDを本格的に復活させてきたようです。
 全音源をDSD変換再生するHDDオーディオプレーヤー"HAP-Z1ES"を始め、DSDを再生できるHDDオーディオプレーヤー"HAP-S1" DSDを再生できるポータブルヘッドホンアンプ "PHA-2"
をIFAで発表。

SONY HAP-Z1ES


中でもHAP-Z1ESPhilewebの記事によると、
"「DSD Re-Mastering Engine」の採用で、全ての再生信号をDSD128(5.6MHz DSD)に変換して再生を行う。
DSD信号のD/A変換方式にはアナログFIRフィルターを採用し、左右チャンネル独立のチップ構成、片チャンネルあたり2ペアのフィルターユニットを1クロックディレイ差動合成で動作させている。これにより、高域ノイズが効果的に低減できるという。"
とあり、DACチップを使わずにFIRフィルタでD/A変換しているようです。アナログFIRフィルタという言い方は正しくないように思いますが、きっとDSD原理基板と同じような構成で、差動合成ということなので、以前実験したような構成なのかもしれませんね。中を見てみたいものです。


2013年9月1日日曜日

JRiver 19  PCM=>DSD変換をマルチチャネル化できないか?

 JRiver自体がASIOドライバー(JRiver audio engine as an ASIO driver)となることができるということで、これは他のソフトの再生データもDSD変換ができるということであり、何とかJRiverを活用してSSC-X等でチャンネルデバイダしたPCMをDSD変換することはできないか調べてみました。
 JRiver自体はDSD変換などOutput Encordingを実施しなければ32chでも対応していますが、PCM=>DSD変換自体は2chのみしか対応しません。


 先ず通常のソフトの場合、ASIOドライバは1つしか指定できないため、JRiverのASIOドライバを選択すると、AudioIFや、その他のソフトに接続することができなくなるため、これが制約となって2chに制限されることになります。

 ReaperというDAWソフトにはReaRouteという他のASIO対応ソフトとの音声データの入出力が可能になるASIOドライバをサポートしていて、ASIOドライバとしてJRiverを指定しても、他のソフトとの接続も可能になるということがわかり、試してみました。

 最初x64bit版をインストールしましたが、foober2000、Samplitude、SSC-X、その他いくつか試しましたが、何れもASIOドライバの選択肢にはReaRouteは現れずで、いきなりこれ以上進めないかと思いましたが、x32bit版をインストールするとどのソフトも認識してくれました。どうも接続先のソフトが32bitアプリの場合はReaperも32bit版でなければダメなようです。


チャネルデバイダ+JRiver19によるPCM=>DSD変換によるDSDマルチチャネル構成


 まず上記構成のJRiverのPCM=>DSD変換を行わずPCMのまま出力する構成が組めるかを試してみましたが、これはうまくいきました。
 次にJRiverのDoP方式PCM=>DSD変換に変えて試してみましたが、どうもイマイチ不安定でした。
foober2000から直接JRiverに変更すると問題なさそうなのですが、何故不安定になるのかはまだ分かっていません。

 さて、ここまではできるのですが、ReaRouteも他のソフトとは接続できますがAudioIF等ハードには接続出来ないため、結局2chから増やすことはできません。
 今のところ良い解決策はみつかっていません。



チャネルデバイダ+ハードウェアPCM=>DSD変換によるDSDマルチチャネル構成
 
 今のところ、実現可能そうな構成は、上の図のようにソフトではチャネルデバイダ処理までで、DSD変換は、エレアトさんのPCM2DSD変換基板を複数使うなどハードによるPCM=>DSD変換になってしまいそうです。

チャネルデバイダ+PCM=>DSD変換VSTプラグインによるDSDマルチチャネル構成

 VSTプラグインタイプのPCM=>DSD変換アプリが出てくれば上図のような構成によりDSD出力のマルチチャネル構成がとれるのですが、探した限りでは無いようです。今後出てくることに期待です。