巷ては、PCオーディオの音質についていろいろな情報が飛び交っています。tad with TIMEDOMAIN さんの記事にもその一例が並べられています。
私の考えるPCオーディオのひとつの理想型をとれば、このほとんどを無視できるのではないかと考えています。
要点は、次の2点のみだと思います。(ただしデジタルデータはビットパーファクトであることが前提)
- クロックは、低ジッタの品質の良いものをDACチップに供給する
- PCの電源ノイズをDACチップ以降のアナログ段に伝えない
1.を実現するには、DAC側になるべく短距離かつクロックの電源に気を使い基準クロックを実装すること。
2.を実現するには、PCとは光で接続することにより、PCとの電源と完全にアイソレートすること。
デジタル区間、つまりPC内部とPCからDACのDAIまでは、ジッタがひどかろうが、電源がひどかろうが、ビットエラーが発生するほどでなければ、なんの問題もないはずです。デジタル信号というものはそういう性質です。これらが影響するのは、DACのDA変換時とその後段のアナログ部以降のはずです。
現在主流となりつつある(既になっていると思うが)USBは、アシンクロナスモードで、DAC側に基準クロックを置くことを実現していますが、電源のアイソレートができません。しかもFidelixさんの記事によれば、USBは特にあまり良くない模様。
SPDIF接続では、PC側のクロックで動作させることになる。(WordClockポートがPC側とDAC側両方にあれば回避可能。しかし一般にWordClock装置は高いし、サポートするDACも限られる。)
1.2.両方を比較的低コストで実現には、SPDIFの送信/受信両ポートを持ったオーディオインタフェースを用意し、PC側のクロックリファレンスをSPDIF受信ポートとする。DAC側に通常は必要のないSPDIF送信ポートを設け、基準クロックをPCに伝える目的で出力させる(SPDIF出力についてはジッタは気にしなくて良い)。
これが実現できていれば、あとはPCについてはほとんど何も気にしなくても良く、DAC以降のオーディオ装置に注力すれば良いと考えています。この考えを前提に、マルチチャネルDACの構成を作成しています。
SPDIFを持つオーディをインタフェースは、DTM向けが主流になりますが、RMEのFF400を始めかなり多く出回っています(192kHz対応は限られます)。XONAR D2Xなど比較的安価なオーディオカードでも対応しています。
しかしDAC側となると、皆無かもしれません(FF400などをDACのとして用いれば別)。PCオーディオ向けDACを開発するなら、低ジッタクロックとSPDIF出力を装備したDACとして、これをアピールすれば、もしかするとヒットするかもしれないと思うのですが、どこか企画しないものですかね…
文章のみでは、分かりにくいと思いますので、図を追加しました。
とわいえ、SDTrans192 Rev2 / 3 で比較すると、ほぼ同じトランスポートなのに音がぁ、という話がw
返信削除デジタルのロジックもアナログで作られているので、デジタルの信号のアナログ的な揺れが色々な処に影響してしまうのではないかなー、と現状は考えています。
光のアイソレーションは興味があるのですが、やはり電源入ってから光が出るまでの時間が電源に影響されてしまうので、PC側電源の影響を受けそうな予想をしています。
とことんやるなら、クロックを外部持ちして、光出力時点と、入力時点で同じクロック信号のタイミングで信号を受け取る、とかですかねぇ…とかいってるとI2Sやってるよーなものになっちゃいますがw
光ケーブルを替えると音が変わる、とかいう話も、光ケーブルの中での光の信号のブレが影響してるんぢゃないかなー、みたいな…受け取り側でデジタルの電源が引っ張られ、その揺れがDAC中のスレッショルドの揺れを招き、時空間方向のジッタを生じるのではないか、という仮説も持ってます。この揺れが発生してると、クロックをどれだけ精度上げても、信号の揺れが発生してしまうという話にも…
文章だけでは伝わりにくいと思いますので、図を追加してみました。
返信削除デジタル領域ではデータエラーが起きるほどひどくなければジッタも電源ノイズも問題になりません。デジタルデータとしてビットエラーがなければ、どんなに転送や記録を繰り返しても内容が変わらないのがデジタルデータというものです。とにかく最終的にデジタル=>アナログ変換する時(DACチップ入力時点)にジッタが少なく、電源がきれいでありさえすれば問題とはならないはずです。
光についても、ジッタは乗るかもしれませんが、後段のElasticBufferでクロック載せ換えを行うためジッタは完全に遮断されます。ここが"ミソ"で、これをしないとジッタがDACチップに伝わります。(ASRCチップを入れる手もありますが、これもクロックを載せ換えているという意味では同じです)
光ケーブルで音が変わるという事例の場合、リカバリしたクロックでDACチップを動作させている場合ではないですかね?
SDTrans192 Rev2 / 3の違いは、回路構成とパターン図の違いが影響しているのではないでしょうか?
CXOからの各クロックラインパターンの最適化およびクロック系の電源強化等が実施されていないでしょうか?
データ系も電源の強化でDAC側への影響を抑えられると思いますので、こちらの強化もしていれば差が出る可能性があると思います。
今回の構成でも、クロックの電源系と引き回しはやはり重要で、ここがいい加減だと効果が出ないか、逆効果になる可能性もあると思います。
よくルビジウムクロックを用いて効果があるという例が有りますが、ルビジウムクロック使用で効果が出る理由がよくわかりせん。Fidelixさんも書いていましたが、クロックの周波数精度は音質にはあまり重要では無いはずです。ルビジウムの利点は周波数精度のはずで、必ずジッタの要因になりかねないPLLが必要になるため、デメリットとなる可能性も大きいはずです。また本来なら外部供給より、より近い内部にクロックを置くほうがジッタ的には有利のはずです。
もし本当に効果があるのなら、その理由が何なのか知りたいところです。
気になっているのはアナログな処ですね…
返信削除DAC自体がどうクロック信号を認識するのだろう、ってあたり。スレッショルド電圧があり、その電圧で切ってクロックのON/OFFを認識しているのではありますが、たとえば電源がなんらかの理由で揺れるとそのスレッショルド電圧が微妙に変化した場合、クロックON/OFFのタイミングがずれて、ジッターと化す。なので、最近はクロックを差動化(つまり電源の影響を受けない形にできないか)って処を考えていたりします。DAC自体が差動クロック受けられないのでアレですが…
このDACのスレッショルド電圧のずれが、入力側回路起因で揺れるとすると、入力側の作りで変化する可能性がある。それは信号起因であれば途中にバッファをかましてクロック与え直しで解決する、といいなぁ…
結局何か回路が動くので、どこまで綺麗にできるのかは…回路動いた事による電源の汚染も考えられるので、できるだけシンプルなのがいいんぢゃないかなー、という気持ちはありますが…
ルビの件はおいらも謎で…イイとはきくんですが、原理的にはクロックジッターの増加要因だと思うんですよね…ルビの発振信号自体をPLLでばらして調整してるケースならわからんでもないですが…
デジタル部の論理規模が大きい、動作周波数、動作率が大きいほど電源に影響するのは確かに考えられます。しかし昨今微細化が進み、デジタル部の電源は低電圧化されFPGAやLSI内部の動作であれば規模もたいしたことがないので影響は比較的小さいと思います。また数100MHzが当たり前になってきているのに比べればaudio系は動作周波数は低いので比較的影響は限定的だとは思います。
返信削除DACチップとの間にiso7240cなどのアイソレータを介せばデジタル部の電源と、DACチップのデジタル電源/アナログ電源とも分離できるので、気になるならこの手を使えば良いと思います。
PLLですが、ジッタの要因と書きましたが、ジッタのフィルタともなるので、実際に影響しているジッタ周波数如何によってはPLLは改善効果として働いている可能性もあります。
人体TCXOの投稿がありましたが、温度を一定に保つために体温を利用するのはいい案ですね。TCXOを採用する理由は周波数の安定度を確保することで、ルビジウムよりは精度は劣るが、低価格、小回路規模で実現する手段として採用されるのかな?という気がします。
ルビジウムの場合と同じで、周波数精度は、音質への影響は限定的ではないかと思いますが風がCXOに当たると温度変化による急激な周波数偏移が起こりますので、特に携帯向けの場合、ここを改善する効果は大きいような気がします。
思うにまずはそこまでしなくても、低ジッタのCXOの周りをシールド兼、風防兼、保温素材で覆えば急激な周波数偏移は避けられ、audio用クロックとしての特性は確保できるという気がしますので、こちらも試してみてはいかがでしょう?
遅いレスですみません。
返信削除いつも拙ブログをご覧いただいているようで、有難うございます。kouさんのPCオーディオ追及は凄いですね。
当方は技術的素養がないこともあり、試して聴いてよかったのわるかったのという感覚的取り組みが中心になってしまってます(ので、ちっとも説得力がありません・・・)。
音質面で大きなジャンプアップがあったのは、再生よりリッピングの工夫のほうでした。一度良質なデータを抜けば、良質ではない再生方法、再生装置でもそれなりに聴けるようになりました。
おかげで、何度もリッピングを繰り返す有様ですが・・・。
tadさん どうもです。勝手に引用してすみません。
返信削除オーディオ2年目の初心者なもんで自分の聴感は控えめに、オーディオとは接点がないですが、一応デジタル信号を扱う仕事をしているので、理論重視でデジタル部はつくっていく予定です。
私自身は書いたとおり如何にDAC以降にPCのノイズやジッタの影響を与えないかが肝だと思っております。重りを置いたことで変化するのもきっとそういう事だと思います。私の提案構成以外でも、この点の改善につながる調整で、新たな改善の記事があがることを期待しております。
始めまして、Macindowsと申します。
返信削除私も一応昔は信号処理屋でしたので、8年前からオーディオを再開してから色々調べた結果、理論的にはやはりDACマスター、トラポスレーブの同期処理がjitter低減に効果的という結論で機材を揃えました。
DACはPrism Sound DA2(中古)で、マスタークロックをAES,同軸、光TOSのいずれでも出力でき、信号入力はいずれの形式でも可能です。
マスタークロックモードを選択すると、トラポをスレーブ動作させ、バッファデータに過不足が生じたときは、直前のデータを使用したりしているようで警告がでます。
使用しているトラポはTransporterというネットワークオーディオ機器で、こちらもAES,同軸、光TOSのいずれにも同期できるようになっています。
現在の構成はPCオーディオの理想型の図でPCの部分にTransporterが入っており、DACからToslinkで同期信号を出し、TransporterからもToslinkで音をDACに入れた状態で正に図そのままの構成です(試聴の結果行き着きました)。この状態でも高域に歪み感があったのですが、結局DACの他の入力(AES, 同軸)を外してやっとアナログ的な音に落ち着きました。
ご存知かも知れませんが、かつてのSonyのCDプレーヤー(CDP-R1/DAS-R1)が全く同じことを23年前(1987年発売)に 光ツイン・リンクでやっていたようです。
なお、DACがマスターになり、トラポをスレーブ同期できる製品としては、dCS、mytekdigitalの物があると思います。確かにあまり多くは無く、スタジオプロ向けの物以外は見当たりませんね。
はじめまして。
返信削除理論的には当然だとも思えるのですが、実際に構成する機器が少ないせいか、あまりこういった意見も実施例もあまり見かけずで、実際に実践されて効果を確認されているとのことで心強い限りです。
>マスタークロックモードを選択すると、トラポをスレーブ動作させ、バッファデータに過不足が生じたときは、直前のデータを使用したりしているようで警告がでます。
=>同期がとれいているなら過不足が出ることもないと思いますが、どういった状況なのでしょうか?
CDP-R1/DAS-R1、たしかYahooオークションに中古が出ていて調べた記憶があります。その後継承されていないのは残念です。光ではなくHDMIですが、SONYのSACDP SCD-XA5400ESとAVアンプTA-DA5400ES等でAVアンプ側をmasterにするモードを持っていますので、DAC側をmasterにすることへのこだわりは持ち続けているようです。
=>同期がとれいているなら過不足が出ることもないと思いますが、どういった状況なのでしょうか?
返信削除すみません、誤解を生む書き方でした。通常同期が取れていれば問題無いです。Transporterで警告が出たことはありません。問題が生じたときの警告です。
トラポに同期信号入力を入れずにマスタークロックモードで動作させた場合、そのような事が起こります。所謂バッファ式のDACみたいなものですね。警告が出ても音は途切れません。
通常のSPDIF入力のみに対応したPLLモードよりも、同期信号無しでマスタークロックモードを使った方が(バッファ過不足の警告は出ますが)音は良いようです。マスタリングスタジオではジッター低減の目的でこのような使い方もすると読んだことがあります。
HDMIによるクロックリンクですか。。。電源ノイズが気になりますね。
了解です。今作っているのも非同期でも再生はできますが、普通に聴けているときと、そうでないときがあり、何故だかまだわかっていません。
返信削除HDMIなのはAVアンプだからというが大きいのかもしれません。HDMIポートが複数ありますが、ポートによって違いがあるようですから電源の影響もあるのかもしれません。